中国語の“子”って何?“兔子”“鼻子”の“子”のヒミツ
- masaru kato
- 9月10日
- 読了時間: 7分
中国語を勉強していると、「兔子」「筷子」「鼻子」など、いろんな単語の後ろに「子」という字がついているのをよく見かけます。普段何気なく使っているこの漢字ですが、「子」とはどういう意味なのか、よく単語の後に付いている理由について考えたことはありますか?ただの飾りなのか、それとも何か特別な意味があるのでしょうか?
今回は、この「子」の使い方について解説します!
■「子」は名詞を作るパーツ!
中国語では、「子」はもともと「こども」や「人」を表す漢字ですが、単語の後ろにつけることで、名詞らしい形にする接尾辞としての役割があります。意味を大きく変えるわけではありませんが、あると自然な響きになるのです。
では、もう少し例を確認していきましょう💨
●名詞の後に付く場合
・兔子(tùzi)=ウサギ
・筷子(kuàizi)=箸
・帽子(màozi)=帽子
・鼻子(bízi)=鼻
・桌子(zhuōzi)=机
どれも、「子」がなくてもなんとなく意味は通じそうですが、「子」がついていることで口語として自然になります。
🐰 “子”がつく名詞の例
漢字 | ピンイン | 意味 | 「子」がある理由/特徴 |
兔子 | tùzi | ウサギ | 単音節の「兔」だけでは不自然 → 二音節化で口語的に |
筷子 | kuàizi | 箸 | 「筷」だけでは通じにくい → 「子」で名詞化 |
帽子 | màozi | 帽子 | 「帽」だけでは不完全 → 「子」で道具を表す形に |
鼻子 | bízi | 鼻 | 「鼻」だけでは医学用語っぽい → 親しみやすく |
桌子 | zhuōzi | 机 | 「桌」だけでは古風・不完全 → 「子」で自然な名詞に |
また、「日子(rìzi)」のように、「日=日付・太陽」とは違い、「日子」は「日々の生活」や「スケジュール」を指す、より抽象的な意味になる場合もあります。
●動詞や形容詞を名詞化する場合
・点子(diǎnzi)=ちょっとしたアイデア・発想(点=軽く指す)
・乐子(lèzi)=楽しみ(乐=楽しい)
・夹子(jiāzi)=クリップ(夹=挟む)
✨「動詞・形容詞+子」で名詞化された例
単語 | ピンイン | 意味 | 元の語根の意味 | 備考(用法・語感) |
点子 | diǎnzi | アイデア、発想 | 点(指す・つける) | 「好点子=いい考え」などで使う |
乐子 | lèzi | 楽しみ | 乐(楽しい) | 「找乐子=楽しみを探す」 |
夹子 | jiāzi | クリップ・ピンなど | 夹(挟む) | 書類用クリップ・髪留めなど |
このように、多くの場合は「子」が付くことによって、動詞や形容詞の語根がその特徴を持つ「人」や「もの」という意味に変わります。
■「子」があると親しみやすくなる?
なぜこのように感じるのか、理由は4つあります。
1. 音の響きがやわらかくなる
単音節(1音)の言葉に「子」がついて二音節になると、口語として自然なリズムになります。
例、鼻 → 鼻子(bí → bízi)
「鼻」単体だと医学的で硬い印象がありますが、「子」が付くことで語尾が軽やかになり、丁寧・やさしい感じが生まれます。
例えば、
「鼻がかゆい」を「鼻痒」と言うと硬くて不自然ですが、「鼻子痒」なら会話でとても自然な言い方になります。
2. 日常会話でよく使う形になる
中国語では、口語では二音節の単語がよく使われるため、上記で述べたように「子」をつけて長くすることで口語として自然なリズムになり、そうする事で砕けた話し言葉にぴったり合うようになります。
例、
・兔…兔子(ウサギ)
「兔」単体は硬くて古風。「兔子」は子どもに話すときや絵本にも登場する、やさしい響きの言葉。
・桌…桌子(机)
「桌」だけでは不完全に聞こえるが、「桌子」は完結した自然な名詞になる。
3. 子どもやかわいいものを表す感じになる
「子」はもともと「子ども」という意味があるため、
→ 使われると 「小さくてかわいい」印象が生まれることもあります。
例、
・猫…猫子(✘あまり使わない)
・狗…狗子(gǒuzi) 地域によっては、子犬・かわいい犬を親しみをこめてこう呼ぶ
・馋猫(chánmāo)…馋猫子(食いしん坊でかわいい、みたいなニュアンス。)
※地方で使われる言い方 ※馋=食いしん坊という意味
4. 家族や友人の呼びかけに多い
ニックネームや愛称にも「子」がよく使われます。
これは日本語の「〜ちゃん」や「〜くん」に近く、親密な関係を示す呼び方です。
🧑🤝🧑「名前+子」で親しみをこめた呼び方(ニックネーム)の例
名前(元の形) | 愛称・呼びかけ形 | ピンイン | ニュアンス・使われ方 |
小明 | 明子 | Míngzi | 親しい友人や家族が呼ぶ、口語的な愛称 |
小刚 | 刚子 | Gāngzi | 男性名にもよく使われる、少し砕けた感じ |
小强 | 强子 | Qiángzi | フレンドリーな呼び方。冗談っぽく使うことも |
上でも述べた通り、 「〜子」は日本語の「〜ちゃん」「〜くん」に近い親しみのある呼びかけであり、多くの場合、同年代・仲の良い間柄、または親が子どもを呼ぶときに使われます。
また一部、男性の名前+子(例:强子)は、冗談やあだ名っぽく使われることもあり、使い方にユーモアが出るのが中国語の面白いところです。日本語でも「しんちゃん」や「ボーちゃん」と言った感じで「〜ちゃん」と呼びますよね!
■「子」がない方が自然な言葉もある!
すべての名詞に「子」がつくわけではありません。逆に「子」をつけると不自然になる言葉もあります
例、
・眼睛(yǎnjing)→ × 眼子(不自然)
・手(shǒu)→ × 手子(普通は言わない)
ではなぜ「手」には「子」がつかないのか、結論から言うと「手」はもともと完成された名詞であり、わざわざ「子」を付けて名詞化する必要がないからです。
詳しく説明すると、
① 「手」は古くから独立した名詞だった
「手」は中国語の古典的な単語で、何千年も前から「人の手」という意味で使われてきた完成された名詞であり、意味も明確で補助語や装飾がなくても通じる語です。
② 「子」は不完全な語や単音節語を補完する役割が多い
前で述べた通り、「子」には不完全な語や単音節語を補完する役割があります。(接尾辞)しかし「手」はすでに口語でも書き言葉でも通用する自然な語なので、「子」は要らないのです。
③ 「手子」は存在するが、別の意味になる
実は「手子(shǒuzi)」という表現もありますが、「手下」や「ある分野で非常に優れた人」という意味のため、普通の「手」を表す時には使いません。
また、「手子」がこのような意味で使用されるのは一部の地域や口語表現に限られるため、書き言葉にはあまり使用されません。尊敬や親しみが入り混じった表現といったニュアンスがあり、スポーツや業界スラングとして使用されることが多いようです。
④ 二音節化はされるが「子」ではない
中国語では「手」を二音節にして柔らかくすることもありますが、下記のように別の語と組み合わせて行われます。
· 小手(xiǎoshǒu)=小さい手
· 双手(shuāngshǒu)=両手
· 手掌(shǒuzhǎng)=手のひら
このように「子」ではなく、他の語で補います。
✋まとめると、、
理由る | 説明 |
完成された名詞 | 「手」は古くから独立した語として機能 |
「子」の必要なし | 補助語を使わなくても自然な語感 |
「手子」は別の意味 | 方言や特殊な意味になるので使いにくい |
他の二音節化手段あり | 小手、双手などで音のバランスを取る |
ちなみに「手」と同じ理由で「脚」も「脚子」とはあまり言いません。
このあたりは慣れも必要ですが、よく使われる言葉を覚えていけば、自然と感覚がつかめてきます。
■意味を持つ「子」もある!
「子」は単なる助字(おまけ)ではなく、古い中国語では人や先生、息子などを表す尊称としても使われていました。
·孔子(Kǒngzǐ)=孔先生(儒教の祖)
·王子(wángzǐ)=王の息子
·女子(nǚzǐ)=女性
このような使い方では、「子」にもしっかりと意味があります。
■まとめ:まずはよく出てくる単語から!
「子」は、単語を名詞にするための接尾辞として使われることが多く、必ずしも意味があるわけではありません。でも、使うことで自然で親しみやすい言葉になるのが特徴です。
一方で「子」が不要な場合や、「子」が意味を持つ場合もあります。全部覚えるのは大変ですが、よく使う言葉から少しずつ慣れていくと、違和感なく使えるようになります。
また、「これは“子”がいる?いらない?」と考えてみたり、単語を口に出して耳で語感を養うのも、ネイティブに近づくためのトレーニングになりますので、ぜひやってみてはいかがでしょうか。
では、最後までご覧いただきありがとうございました、次回もお楽しみに!
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