「ザーザー?しとしと?中国語で感じる“雨の音”と詩の世界」
- masaru kato
- 6月30日
- 読了時間: 5分
梅雨の季節になりましたね。毎日のように降る雨にうんざりする人もいれば、雨音に癒やされるという人もいるのではないでしょうか。
日本語には「ザーザー」「しとしと」「ポツポツ」など、雨の降り方を表す擬音語・擬態語がたくさんありますよね。実は中国語にも、雨や天気にまつわる豊かなオノマトペ表現があるんです!今回は、中国語学習者向けに、梅雨の季節にぴったりな「雨と天気」に関する擬音語・擬態語をいくつかご紹介します。また、実は「雨」と「詩」は深い関係がありますので、それについても触れたいと思います。
1.【 雨の音や様子を表す中国語のオノマトペ】
中国語 | 説明 | 日本語の感覚 |
哗哗(huāhuā) | 強い雨の音、水が勢いよく流れる音 | ザーザー |
滴答滴答(dīdādīdā) | 水がポタポタ落ちる音。時計の音にも使える | ポタポタ、チクタク |
淅沥淅沥(xīlìxīlì) | 小雨が降り続く音 | しとしと |
哒哒(dādā) | 雨が傘や窓にあたる音。足音にも使われる | ポツポツ、コツコツ |
霏霏(fēifēi) | 細かい雨が静かに降り続く様子(文語調) | 細雨、しとしと |
潺潺(chánchán) | 小川の水がさらさら流れる音(文学的) | さらさら |
ポイント:
・“哗哗”と“滴答”は、子ども向けの本や会話でもよく出てきます。
・“霏霏”や“潺潺”は詩や文学など、少し上級な表現ですが、覚えておくと語感が豊かになります!

■ 例文
外面下着哗哗的大雨,我只能在家看电影。
(外はザーザー雨が降っているので、家で映画を見るしかない。)
滴答滴答的雨声让我想起小时候。
(ポタポタという雨音が子どもの頃を思い出させる。)
雨淅沥淅沥地下了一整夜。
(しとしとと一晩中雨が降り続いた。)
■ ミニクイズ:どのオノマトペが合う?
① 強い雨が傘にあたって「ザーザー」音がしている → ____?
② 小雨が静かに降っている → ____?
③ 雨粒が天井にポツンポツンと落ちている → ____?
■ 答え合わせ!
① 哗哗(huāhuā)② 淅沥淅沥(xīlìxīlì)または霏霏(fēifēi)③ 滴答滴答(dīdādīdā)
2.【実は詩や小説にもよく登場するテーマ】
中国語には「雨」をテーマにした有名な詩がいくつかあります。古典詩の中でも、雨を通して詩人の感情や風景を表現した詩はとても多いです。以下では特に有名で人気のあるものを2つご紹介します。
1.《夜雨寄北》 李商隠(Lǐ Shāngyǐn)
▼李商隠とは?
唐代後期の詩人。意味があえて曖昧にされていたり、象徴や暗喩の多い詩風が特徴の詩人。彼の詩は「晦渋(かいじゅう)詩」とも呼ばれる。
君問歸期未有期,
巴山夜雨漲秋池。
何當共剪西窗燭,
卻話巴山夜雨時。
現代語訳(意訳)
君(あなた)は帰る日を尋ねるけれど、まだ決まっていない。
巴山(四川の山地)では、秋の池が雨であふれる夜だ。
いつの日か、あなたと共に西の窓辺で燭(ともしび)を灯し、
今夜のこの「巴山の夜の雨」について語り合いたい。
解説
· この詩は、離れて暮らす相手を想いながら書かれた詩。
·「夜雨」が詩人の孤独や哀愁、そして再会への希望を象徴しています。
· 「共剪西窗燭(ともに西の窓辺で蝋燭の火を剪る)」という表現は、再会して語り明かしたいという強い想いを表しています。

2.《春夜喜雨》 杜甫(Dù Fǔ)
▼杜甫とは?
唐代(盛唐〜中唐)の詩人。その詩の内容・技術・精神性の高さから「詩聖」と称されている。
好雨知時節,
當春乃發生。
隨風潛入夜,
潤物細無聲。
野徑雲俱黑,
江船火獨明。
曉看紅濕處,
花重錦官城。
現代語訳(意訳)
よい雨は、ちょうどよい時に降ってくれる。
春になって万物が芽吹く頃に。
風にのって夜のうちにひそかに降り、
静かに、そっとあらゆるものを潤していく。
野の小道は雲で真っ暗になり、
川の船だけが灯りをともしている。
夜が明けたら、しっとりと濡れた場所に、
花々が重たげに咲いていることだろう──それが錦官城(成都)だ。

解説ポイント
◉ 詩の背景
杜甫がこの詩を書いたのは、晩年に四川省成都に住んでいた頃です。彼は社会の混乱に巻き込まれながらも、自然と共に静かな暮らしを送り、農業や民の生活にも目を向けていました。
◉ 各句の解説
「好雨知時節」
「よい雨は時をわきまえる」――春の雨は、ちょうど作物の成長に必要な時期に降るという賛美。
「隨風潛入夜,潤物細無聲」
風にのって静かに夜に降る雨が、音も立てずに万物をしっとりと潤す様子が繊細に描かれています。
「江船火獨明」
雨に包まれた夜、川を行く船の灯りだけがポツンと見えるという幻想的な描写。
「花重錦官城」
「錦官城」は成都の別名。雨でしっとり濡れた花々が重たげに咲いている春の朝を想像させます。
この詩は自然と人間の調和が描かれており、雨がただの天候ではなく、春の生命や希望を育むものとして肯定的に描かれています。
杜甫の優しさと感受性が詰まっており、社会詩人の印象とは異なる一面が垣間見えます。
語感が非常に美しく、中国語学習者にとっても音読するとリズムや語彙を学ぶのに最適です。
■ まとめ
中国語の擬音語・擬態語は、日本語と似ているようで少し違います。特に「雨の表現」は音や情景をイメージしやすく、感覚的に覚えられるので、語彙の幅を広げるのにぴったり!特に“雨”は詩や小説にもよく登場するテーマなので、覚えておくと語彙が広がります。
梅雨の時期は少し憂うつにもなりますが、中国語の“雨の音”を感じながら勉強すると、意外と楽しくなるかもしれませんね。ぜひ例文を声に出して読んで、自然に使えるようにしてみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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